年末調整で手取りはどう変わるか(2026年版)
年末調整は、1年間概算で引かれてきた所得税と、 年収が確定してから計算した本来の所得税の差を精算する手続きです。 引かれすぎていれば戻り、足りなければ追加で徴収されます。 「いくら戻るか」は人によって違いますが、本来の所得税がいくらかは計算できます。
何と何を突き合わせているのか
毎月の給与から引かれる所得税は、その月の給与から社会保険料を引いた金額と扶養親族等の数を 「源泉徴収税額表」に当てはめて決まる概算です。 賞与の所得税も、前月の給与を基準にした概算です。 1年が終わってはじめて年収が確定し、本来納めるべき所得税(年税額)が決まります。
年末調整は、この2つを突き合わせます。
- これまで引かれた所得税の合計(毎月+賞与の概算の積み上げ)
- 年税額(確定した年収と、申告した控除で計算した本来の額)
前者のほうが大きければ差額が還付され、小さければ追加徴収されます。 戻る人が多いのは、月々の源泉徴収税額表が扶養親族等の数までしか見ておらず、 生命保険料控除やiDeCoのように年末にまとめて申告する控除が反映されていないためです。 これらを申告すると年税額が下がり、その分が差額として戻ります。 12月に受け取る還付は払いすぎた分の返却であって、給付や割引ではありません。
「いくら戻るか」に一律の答えがない理由
還付額は「引かれた合計 − 年税額」です。年税額のほうは年収と控除から一意に決まりますが、 引かれた合計は、その年の給与の払われ方で人ごとに変わります。
- 残業の多い月が続けば、その月の概算は高い率で引かれている
- 賞与の前月給与がふだんより高ければ、賞与の源泉徴収も高い率になる
- 年の途中で入社・退職・休職していれば、想定の年収と実際がずれる
同じ年収の2人でも還付額は違います。したがって、このページでは還付額そのものではなく、 控除を申告すると年税額がいくら下がるかを計算します。 これは還付が増える(または追加徴収が減る)額と同じで、年末調整の書類を出すことの効果そのものです。 年収別の年税額はシミュレーターのページの早見表に載せています。
控除を申告すると税額はいくら下がるか
年末調整で申告できる代表的な控除について、 申告した場合としなかった場合で同じ計算を2回まわし、税額の差を出しました。
| 年収 | 一般の扶養親族1人 | 特定扶養親族1人 | その他の所得控除10万円 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 所得税 | 住民税 | 所得税 | 住民税 | 所得税 | 住民税 | |
| 3,000,000円 | −19,400円 | −35,500円 | −26,600円 | −54,000円 | −5,100円 | −10,000円 |
| 4,000,000円 | −19,400円 | −35,500円 | −32,200円 | −54,000円 | −5,100円 | −10,000円 |
| 5,000,000円 | −19,400円 | −33,000円 | −32,100円 | −54,000円 | −5,100円 | −10,000円 |
| 6,000,000円 | −38,800円 | −33,000円 | −57,100円 | −45,000円 | −10,200円 | −10,000円 |
| 8,000,000円 | −77,600円 | −33,000円 | −128,700円 | −45,000円 | −20,400円 | −10,000円 |
| 10,000,000円 | −77,600円 | −33,000円 | −128,700円 | −45,000円 | −20,500円 | −10,000円 |
同じ控除でも、年収が上がるほど所得税の下がり方は大きくなります。 一般の扶養親族1人の所得税は、年収3,000,000円で19,400円、 年収10,000,000円で77,600円です。 控除は税額から直接引かれるのではなく課税所得から引かれるため、 効果はその人の税率区分に比例します。 表の中に、年収が上の行のほうが減税額が100円だけ小さくなっている箇所があります。これは課税所得を1,000円未満切捨・所得税額を100円未満切捨で確定させるためで、税率が下がったわけではありません。 配偶者控除(一般)は控除額が一般の扶養控除と同じ (所得税38万円・住民税33万円)なので、 効果も同じ額になります。
「その他の所得控除」は、生命保険料控除・地震保険料控除・iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)など、 年末調整のときに証明書を出して申告する控除をまとめた枠です。 控除額が10万円増えるごとに、表の額だけ税額が下がります。
年収3,000,000円の特定扶養親族の行は、 控除を引ききる前に所得税が0円になるため、下がり幅が年税額26,600円で止まっています。 所得税がもともと少ない場合、控除を積んでも所得税はそれ以上減りません(住民税側は引き続き効きます)。
年末調整で戻るのは所得税だけ
上の表で住民税の欄も下がっているのに、12月の給与で戻ってくるのは所得税の分だけです。 住民税は年末調整で精算されません。 年末調整の結果は給与支払報告書としてお住まいの市区町村へ送られ、 翌年6月からの住民税の税額に反映されます。
住民税は所得割10%の一律課税なので、 控除10万円に対する減り方は年収帯によらずほぼ一定です。 表の住民税の欄が年収によってあまり変わらないのはこのためです。
表の住民税は、入力した年収に対して課される住民税を同じ年に並べて表示したものです (比較しやすさを優先した、このツール共通の前提)。 実際には前年の所得に対して翌年度に課税されるため、控除の効果が手取りに現れるのは翌年6月以降です。
年末調整では終わらないもの
年末調整で扱えるのは、勤務先が把握できる控除に限られます。 次のものは年末調整の対象外で、確定申告が要ります。
| 項目 | 年末調整 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 扶養控除・配偶者控除 | できる | — |
| 生命保険料・地震保険料控除 | できる | — |
| iDeCo(小規模企業共済等掛金控除) | できる | — |
| 医療費控除 | できない | 要 |
| 寄附金控除(ふるさと納税・ワンストップ特例を使わない場合) | できない | 要 |
| 住宅ローン控除の1年目 | できない(2年目以降はできる) | 要 |
| 副業(給与以外)の所得が20万円超 | できない | 要 |
副業がある場合の扱いは副業の税金と20万円ルールで、 20万円という基準が収入ではなく所得の基準であることを含めて説明しています。 なお、給与の総額が2,000万円を超える人はそもそも年末調整の対象外で、確定申告が要ります(国税庁 No.2665)。
表示している金額は概算であり、実際の税額を保証するものではありません。 税務に関する助言でもありません。医療費控除・住宅ローン控除・ふるさと納税・ひとり親控除・障害者控除などは この計算に含めていないため、実際の年税額はこれより小さくなることがあります。 個別の判断は所轄の税務署・税理士・お住まいの自治体にご確認ください。 入力した金額はブラウザの外へ送信されず、保存もされません。
関連する解説
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出典
- No.2662 年末調整のしかた(国税庁)— 過不足額の精算
- No.2665 年末調整の対象となる人(国税庁)
- No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁)
- 個人住民税(東京都主税局)— 前年所得に対する翌年度課税